〈コラム〉ふくらはぎストレッチ 運動前後にやると効果的

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日本クリニック「医療の時間」第4診

この時期にテニスをされる方は多いのではないでしょうか。テニス肘(ひじ)はよく聞かれると思いますが、「テニス脚」をご存知ですか?
テニス脚はテニス中に起こる脚部の肉離れのことです。「脚を撃たれたような感じがする」と訴えるほど、鋭い急激な痛みを生じます。急激な方向転換をした時、ストップ、ダッシュの際によく起こる怪我(けが)です。テニスシューズと固い地面が引っ張り合い、膝(ひざ)が伸びると、下腿二頭筋(ふくらはぎの腓腹筋=ひふくきん=とヒラメ筋の二つの筋肉)が突っ張ってしまい、筋断裂を起こした状態です。
テニス脚の予防には普段からストレッチを行い、筋力と柔軟性を保つことが大切です。
今回はふくらはぎストレッチを紹介します。
壁の前に約30センチ離れて立って、もう片方の足を約30センチ後ろに引き離します。両手を壁につけて、手前の膝を前に倒す感じで曲げます。その時に後ろの足が伸び、ふくらはぎの後面がジワーと伸ばされていることを感じたら、この状態で1分間ストレッチをします。この時に足先が外側を向く「アヒルの足」になったり、内側に向かないよう、真っすぐ壁に向けてください。ゆっくりと元の状態に戻し、足を替えて同じようにストレッチしてください。これを左右交互に3回繰り返します。
真っすぐに立ち、片方の足を30センチ後ろに引き、膝を45度くらいまで曲げます。踵(かかと)がストレッチされるのを感じたら、踵を押し上げ、またゆっくりと踵を下ろす動作を左右交互に約10回3セット行うのが理想です。立って行うが辛ければ、いすに座り、6センチくらいの小さな箱に足のつま先を置き、踵をゆっくりと地面向けて下ろしていくと、ふくらはぎとアキレス腱がストレッチされるのを感じます。ほかにも、階段(または台)に立ち、段の端に足のつま先を置いて、踵の上げ下げを10回3セット行うと効果があります。
運動前後のストレッチはとても大切です。特に運動後は体が温まっているので、関節や筋肉の緊張がほぐれてストレッチ効果があります。運動前のストレッチも同じく効果的ですが、適度に体を温めてから行わないと筋肉を損傷する原因になるので気をつけてください。

drvitale〈今回の執筆者〉ケン・ヴィターレ医師/Kenneth C. Vitale, MD
日本クリニック/15W 44th St. 10FL. NY,NY 10036
スポーツ医学、理学医療科、リハビリテーション科、疼痛管理を専門。NY大学医学部卒業。NYU Harkness Center for Dance Injuriesにて資格取得。アメリカ大学スポーツ医学会(ACSM)、東京大学、ヨーロッパなどで講演を行う

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