〈コラム〉ニューヨークシティでレストランを開く ライセンスなどは事前に細かく調査しておこう

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「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第54回

ニューヨーク、特にマンハッタンでレストランを開く相談が急増しています。当たり前かもしれませんが、アメリカでは日本とは違ういろいろな登録やライセンスが必要になります。今回は、マンハッタンで飲食業を開くときに必要な登録、ライセンスについて代表的なものを説明します。

営業登録

マンハッタンで飲食ビジネスをする場合は、営業登録が必要になります。一般的にレストランで使用される会社形態は、Corporation、Limited Liability Companyになりますので、ニューヨーク州に登録が必要になります。会社形態によっては郡に登録という場合もありますので注意が必要になります。

EIN(Employer Identification Number)の取得

会社の納税者番号でもあり、アメリカでビジネスをする上で頻繁に使用する番号です。IRSのサイトからも簡単に登録が可能ですが、代表者のソーシャルセキュリティーナンバーが必要ですので、日本からの進出の場合は気をつけなければなりません。

Sales tax IDの取得

いわゆる日本で言う消費税のことですが、徴収するための登録が必要になります。州のウェブサイトから登録可能です。事業内容や会社の代表者情報をアンケート方式に回答して登録します。登録後2週間ほどでCertificate of Authorityというピンク色のCertificateが郵送され、店内に飾ることになります。

各種保険の加入

Workers’ compensation(労災)やその他、ビジネスに関わる保険について加入しておかなければなりません。Disability insurance(傷害保険)については、ニューヨーク州は雇用者が自分で加入しなくてはなりません。傷害保険料金については、雇用主の選択で従業員より週60セントまで徴収可能です。

工事に関わる許可

工事の許可については、NYC Department of Buildingという部署が管轄しています。ライセンスを持ったプロフェッショナルの工事業者からドキュメントを提出して許可を貰うことになります。キッチン周りのストーブやガスオーブンについては、レンジフードが必要となりますが、その設計については、Fire Departmentへの申請になります。工事許可を取得した後、許可証を現場に飾っておかなければなりません。

代表的なものを説明しましたが、この他にもHealth Department関係の許可、従業員のFood protection Certificateの取得などの営業を開始するために必要なパーミット、さらにサイドウォークカフェのように歩道に客席を出す許可などさまざまな登録やライセンスの取得があります。難しいようにも聞こえますが、前もって細かく調査しておけば、驚くこともありません。

皆様の成功を祈ります。

(次回は8月第2週号掲載)

takeshi%20001[1]〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を活かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーまで、幅広く顧客を持つ。

ウェブ】www.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ
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