〈コラム〉米日教育交流協議会・代表 丹羽筆人「在米親子にアドバイス」日米の教育事情

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大学入試センター試験廃止の影響

アメリカの大学により近い選考方法の導入で高校生活が変化する?

すでに報道などでご存じの方も多いかと思いますが、大学入試センター試験の廃止が検討されています。政府の教育再生実行会議が、現行のセンター試験に替わる「達成度テスト(仮称)」の創設を柱とする大学入試制度改革の提言書を安倍首相に提出しました。
達成度テストは「発展レベル」と「基礎レベル」との2種類で構成されます。発展レベルは論理的な思考や問題解決能力を問う出題で、知識一辺倒の1点刻みの入試とならないよう成績は得点範囲別に分けて示されます。また、この成績が大学の受験資格として活用されます。基礎レベルは、高校段階での基礎学力の定着度を把握し、学力向上につなげることを目的とされ、AO入試で活用されます。両テストとも1回のみしか受験できないセンター試験とは異なり複数回の受験が可能で、前身の共通一次試験導入から30年以上を経て大きく変化しそうです。
達成度テストの創設とともに、大学入試の改革も提言され、各大学が行う二次試験は、論文や面接、高校での活動実績などを踏まえ、多面的、総合的に評価するよう求められています。入試当日の学科試験の得点で合否が決まる入試システムとは大きく異なり、高校生活にも変化が見られそうです。達成度テストの実施時期は具体的に示されていませんが、早ければ今の中学生が受験することになります。
この大学入試制度改革は、アメリカの大学入学者選考方法に類似しています。達成度テストはSATやACTに相当しますし、二次試験も高校の成績や諸活動を総合評価するアメリカのシステムにより近いです。教育再生会議の大学入試制度改革案は、アメリカのシステムをモデルにしたともいえ、日本の高校教育にも影響を与えそうです。
達成度テストの創設による大学入試制度の改革に伴い、帰国生入試も変化しそうです。帰国生入試では、アメリカ出身者にはSATやACTのスコアを求める大学が3割ほどありますが、センター試験の受験を要する大学はごくわずかです。国公立大学でも免除されているところがほとんどです。各大学が実施する入試は小論文と面接です。理科系学部では数学や理科も課されますが、達成度テスト導入後の各大学が行う二次試験に似ています。ということは、帰国生にも国内生と同じ試験が課され、達成度テストの受験も求められることが考えられます。帰国生大学入試の受験生の数は減少傾向にあり、AO入試や秋入学の導入が進む一方で、廃止の動きも顕著だからです。今後の動向に注視したいものです。
(次回は1月第4週号掲載)

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