〈コラム〉突出した強みを持つビジネス作り-ブランド論- 環境の変化に応じた作り方考える

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「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第6回

皆さんは、商品選びをする時、どういったことを気にするでしょうか。
友人に、とても上手に買い物をする夫婦がいます。その夫婦の強みは「情報量」です。商品について、どのブランドが何に突出した強さを持っているか、深い知識を持っています。
先日、うちのBBQグリルを買い換えようと話していたら、“何に一番重要性を置くか”ということを聞かれました。おしゃれなもの、もしくは値段、簡単に手入れができるものなど、BBQグリル一つにしても、いろいろブランドがあるようです。私は、上手に焼けて、丈夫で長持ちするものが欲しいというと、大手W社のものを勧められました。その家には同じメーカーのものがあり、使い方から掃除の仕方、焼き方まで教わりました。ホーローが入った塗料を塗っているから長持ちするなど、セールスマン並みの情報です。信用する友人の口コミの説得力はすごいものがあり、結局、それを購入しました。見た目はごく一般的なグリルですが、確かに使いやすく丈夫で、期待通りでとても満足しています。後で知ったのですが、このグリルメーカーは、アメリカ市場シェア6割を持っている老舗ブランドで、さすがだと思いました。
ブランドとは、高級品のことだと思われがちですが、本来の意味は、商品を識別するためのもののようです。昔、牧場を歩き回っていた家畜にどこの家の所有のものか識別するために焼印を押していたそうですが、この“焼印を押す”というのが語源とも言われています。
消費者の満足を持続することにより、企業のイメージが出来上がります。私はそれがブランドだと考えます。その満足が低価格にあるのならば、それを追求し価格競争で一番になることもブランドの確立です。大手衣料メーカーで、低価格について目立つブランドがあります。しかも、質やデザインも平均かそれ以上といえます。ただ、その低価格という突出した強さは、平均というものをはるかに超えています。低価格にポイントを置いたのが、この不況下において、功を奏したのかもしれません。ただし、不況といえど、高級品が売れないわけではありません。実際に最近でも高級ブランドHの店舗の商品は売れすぎて、棚がガラガラでした。
バブル時代と不況時代では受けいられるブランドが変化すると思います。新しくビジネスをする人たちは、この環境の変化にブランドの作り方を考えなければなりません。
皆さんのビジネスの成功をお祈りします。
(次回は8月11日号掲載)

(「WEEKLY Biz」2012年7月14日号掲載)
takeshi%20001[1]〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を活かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーまで、幅広く顧客を持つ。【ウェブ】www.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ
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