〈コラム〉ESTAとビザ却下について

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米国空港移民管理局を管轄する政府機関である税関国境警備局(CBP)は最近、米国大使館や米国領事館が発行するすべての221(g)通知書を「ビザ拒否」とみなすと発表しました。

米国滞在を希望する日本国籍保持者は誰でも、ビザ免除プログラムにて米国へ訪れるには、飛行機への搭乗前にESTAにてオンライン申請しておかなければなりません。今までに米国大使館や米国領事館にてビザを却下されたことのある方は、ESTA申請時にその旨を申告しなければなりません。申告により、ビザ免除プログラムでの入国を拒否されることもあります。
米国大使館は、ビザ申請者がビザ取得に不適格であるとみた場合、申請を却下する旨の221(g)通知書を発行します。しかし大抵は、面接後に管理上の理由でさらに審査を続ける場合や、ビザ申請の最終決定を下すには情報が不十分である場合に221(g)通知書を発行します。この通知書は通常、ビザ審査の遅延理由を詳細に記したリストやチェック項目と一緒に 大使館の便せんに印刷されて発行されます。221(g)通知書に「不完全」もしくは「さらなる審査が必要」と記されていることもあるでしょう。また、221(g)通知書は、追加書類の提出や安全性のチェック、管理上の手続きなどを要するペンディング中の案件に対しても発行されます。要するに、申請却下の221(g)通知書が発行されるということは、ビザ発行に際してさらなる審査が必要であるということなのです。
CBPによると、現在、ビザ免除プログラムにて入国を希望するESTA申請者は、 理由がどうであれ、221(g)通知書により「ビザ拒否」の結果を受け取ったことがあれば、たとえ最終的にビザを取得したとしても、必ずその旨を申告しなければなりません。
法的には、221(g)通知書はビザの「拒否」を意味しますが、大使館は必要書類の受領や安全性の検査により、ビザ申請の審査を「再開」する権限があります。
このように、221(g)通知書を受け取ったことのあるESTA申請者は難しい状況に置かれることになるでしょう。過去のビザ却下をESTAに申告した場合、ビザ免除プログラムもほぼ拒否されるいえるでしょう。もしもビザ却下の旨を申告しなかった場合は、ビザ「却下」を通知漏れとし、空港で入国を拒否されるでしょう。最悪の場合には、詐欺行為とみなされ永久に米国へ入国できなくなります。
以下にESTA申請の質問内容を紹介します。
Fこれまでに米国ビザもしくは米国への入国を拒否されたり、ビザを取り下げられたことがありますか?
__はい  __いいえ
はいの場合:
いつ? __________________ どこで? __________________
ESTA承認の可能性を高めるに、申請者は「どこで?」の項目に221(g)通知書にある却下の理由を明確に記してください。記入例としては、「東京―221(g)通知書により大使館は追加書類を要請」や「大阪―221(g)通知書により領事がさらなる審査期間を必要とした」となります。
「はい」という回答により、CBP係官は再審査を始め、72時間以内、早ければ1時間というわずかな時間内に完了します。72時間以内に回答があった場合は、新たな申請をするように要請されます。CBPからの事前連絡で、「追加書類」の依頼をする221(g)通知書であればESTAを承認するでしょうし、一方、「管理上のチェック、または安全性の検査」という通知書であればESTAの拒否という結果になりえるでしょう。
(弁護士:リチャード A. ニューマン)
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過去の一覧
(「WEEKLY Biz」2009年11月27日号掲載)

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