〈コラム〉米日教育交流協議会・代表 丹羽筆人「在米親子にアドバイス」日米の教育事情

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海外生活の長い子どもの気になる行動

将来のためにも日本的なマナーの習得が日本語学習と同様に大切

前回のコラムでは、海外生活の長い子どもの日本語についてお伝えしました。今回はそのような子どもの、日本でのサマーキャンプや補習校での生活の中で気になっている行動について触れます。
まず、授業中の姿勢です。背筋が伸びていない子どもは多いのですが、足を組んだり、椅子の上で胡坐をかいたりしている子どもがいます。集会などで床に座るときには胡坐をかく子どもはさらに増えます。北米では、女子が胡坐をかくことや授業中に足を組むことは特に指導されないようですが、日本での生活ではかなり気になります。学校などで床に座るときは、男女にかかわらず体操すわりが原則ですし、制服を着ている女子でも足は揃え、胡坐をかくようなことはありません。また、和室で食事をしたり、目上の人のお話を聞いたりするときは正座をするのが一般的です。正座は足がしびれるのでつらいかもしれませんが、少なくとも前後のあいさつの際は正座ができるようにしたいものです。「足をくずしてください」という言葉は、意味が分からなかった子どもが目立ちましたので覚えておくとよいですね。
次は、食事の時に気になった行動です。お箸を上手に使える子どもは多いのですが、肘をついている、お茶碗を手に持たない、箸とお椀を同じ手で持ってお汁を飲む子どもがいました。また、床に座って食事をする姿勢は先述したとおりですが、片方の足を立てて食べたり、すぐに寝転んでしまったりする子どもがいます。また、膝立ちをしないで立ったまま配膳したり、テーブルに腰かけてしまったりする子どももいます。(「膝立ち」も教えたい言葉です)。和室での生活は日本の家庭でも少なくなってきましたが、日本の食事のマナーをしっかり教えたいものです。大人になってから公式な場で食事をする際に、和室が使われることもあるからです。
その他、履物なしで屋外に出てしまい、足をふかないでそのまま戻ってくること、その足で布団の上を歩き回っていること、お菓子の包み紙や袋、ペットボトルや缶をごみ箱に捨てないで散らかしていること、食事の食べ残しが多いことなどは日本の子どもと違う点だと、サマーキャンプの宿舎の方から指摘されました。生活習慣の違いもありますが、家庭や学校でのマナーの指導が必要だと思います。
海外生活の長い子どもが、将来、日本や日本人と関わる社会で生活する際に、最低限の日本的なマナーを実践できることは、日本語の学習と同様に大切です。
(次回は8月第4週号掲載)
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