集夢計画88「人道芸術プロジェクト」

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アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第93回

これまでのクリスタルファウンデーションからの寄付金は2万5000ドルになりました。クリスタルファウンデーション代表のThomas Chen氏(左)と筆者

これまでのクリスタルファウンデーションからの寄付金は2万5000ドルになりました。クリスタルファウンデーション代表のThomas Chen氏(左)と筆者

ウクライナとロシアの戦争から11月9日で625日。開戦当日、私はクリスタルパークでその一報を聞きました。「一祈一絵」の1枚目は、その夜に描いた山の風景画。祈りのメッセージを込めながら、国連がすぐに解決してくれるだろうと思っていました。毎日1号サイズの絵を描き続け2週間後、国連では討論だけで解決の糸口は見えず、米国はウクライナへお金と武器を送るだけ。この戦いのために私は何ができるだろう? 山の馬を借り、剣と盾に見立てた大きなペンとパレットを両手に持ち、騎士の格好で馬にまたがりました。ペンは剣よりも強し! アーティストはペンを持って戦おう、大きな挑戦と覚悟して挑むことを決意。そうして「人道芸術プロジェクト」を掲げ、Shield Art Foundationを設立しました。

1日1枚描き続けている「一祈一絵」を500ドルで販売し、ウクライナ支援に充てることを4月のアート・エキスポ・ニューヨークで発表。協力してくれる人は100ドル払えば、クリスタルファウンデーションが400ドルを寄付してくれる方針も続行中。エキスポの後、ウクライナの教会やレストラン、コーヒーショップや公園などで販売してきましたが、作品を売るのはなかなか難しい。そういう話を30年来の日本の友人にすると、12月と来年3月に個展を開いてくれることになりました。台湾も同様に北から南に拡散中。友人たちの力を借りながら、2月、3月は日本と台湾を回り、描きためた絵を販売してくる予定です。

この戦争が終わらぬ内に、また新たな戦争が始まりました。悲しい現実です。戦争孤児は日々増え続けています。アートでこの子供たちを癒やすことができないだろうか、「制夢、追夢、圓夢(夢を作る、夢を追う、夢が叶う)」。世界平和のため、プロジェクトの夢は広がります。

(次回は1月20日号掲載)

林世宝

〈プロフィル〉リン・セイホウ 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年NY大学大学院修士課程を修了。NY現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門(愛知万博)」、「ラブツリー(20万のおしゃぶり)」がある。NY在住。【フェイスブック

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