〈コラム〉法律の専門家がお答えします

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今週は「シンデル法律事務所」

移民局ビザ申請費用の値上げについて

米国政府は、今回正式に制定された法律に伴い、米国南部の国境強化のため、さらに6億ドルの予算を投じることになりました。その莫大な予算の財源については、H―1B、L―1など外国人を雇用する際に移民局へ申請する申請費用を値上げすることにより捻出されます。
当法律によると、総従業員数50名以上の会社を対象とし、うち50%以上の従業員がH―1BまたはL―1ビザ保持者である場合、L―1ビザ申請1件につき、申請費用が2250ドル、さらに同様の会社条件の下、H―1Bビザ申請一件につき、2000ドル値上がりすることになりました。現在、H―1BおよびL―1の移民局申請には申請費用320ドル、詐欺防止費500ドル(新規申請のみ)、トレーニング費1500ドル(H―1B申請のみで、総従業員が25人以下の場合は750ドル、一部対象外あり)が必要で、仮に特急申請を行う場合には、追加で1000ドルが必要です。それらを考えると一件当たりの申請費用が相当に値上がりする計算となります。
さらに、当法律には国境警備局による1500人の国境警備員増員に必要な3億ドル、国務省によるプログラムに必要な1億9600万ドル、追加で2機の無人警備用飛行機に必要な3200万ドル、その他通信装置や新しい施設などに必要なお金が含まれています。
さらに、2010年11月23日より、移民局申請費用が全体的に平均で約10%程度値上げとなります。その背景には、移民局の予算不足があり、発表によれば、移民局の予算の約90%は申請費用からである一方、08年、09年は予想以上に申請費用からの収益が少なく、かつ10年についても現時点まで申請費用による充分な収益がない状況だそうです。市民権申請など費用に変更がないものや、一部値下げとなっている申請もありますが、値上げされた主な申請費用は次の通りです。
○永住権更新申請(I― 90)
290ドル→365ドル
○家族ベースの移民申請(I―130)
335ドル→420ドル
○渡航許可申請(I―131)
305ドル→360ドル
○雇用ベースの移民申請(I―140)
475ドル→580ドル
○永住権保持者への身分変更申請(I―485)
930ドル→985ドル
○就労許可書申請(I―765)
340ドル→380ドル
○特急申請(I―907)
1000ドル→1225ドル
○非移民ビザ申請(I?129)
320ドル→325ドル
(次号は12月11日号載)
(「WEEKLY Biz」2010年11月13日号載)
sindel_faceup〈今週の執筆者〉 弁護士 デビッド・シンデル(David S. Sindell – Attorney at Law) NY、NJ州公認弁護士、NY弁護士会会員 アメリカ移民法弁護士協会会員 1994年NYマンハッタンにシンデル法律事務所を設立。移民法を専門に扱う。以後1万件以上のビザ、永住権等の取得実績を誇る。2011年4月にはCA州シリコンバレーにもオフィスを設立。NY、CA、日本を中心とした法律セミナーの多数開催をはじめ、多数の日系情報誌にも法律記事を連載中で、在米日本人を中心に広く好評を得ている。米国在住の日本人とも交流が深く、米国を拠点に直接日本語で法律相談にも応じている。 〈今週の執筆事務所〉シンデル法律事務所 7 W. 36th St., 14Fl. NYC Tel:212-459-3800 Email:slony@sindelllaw.com Web:www.sindelllaw.com
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