〈コラム〉「COACH A」竹内 健 「対話で変える!」第5回

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対話の力(5)
Pacing(ペーシング)

こんにちは。COACH Aの竹内です。皆さんは部下やクライアント先とどれだけ信頼関係を結べていますか? 対話で相手の主体性を高めたり、目標達成を促すためには、相互の協力関係の存在が前提となります。
今月ご紹介する“Pacing(ペーシング)”は、相手に信頼感や安心感を持ってもらうために非常に役立ちます。
“Pacing”とは、相手の話すスピードやトーン、呼吸、姿勢、表情などを合わせることを指します。具体的には、あいづちを打ったり(verbal=言語的要素)、相手が笑った時はこちらも笑顔で返すなど(non-verbal=非言語的要素)します。
人にとって他人とは、味方にもなれば敵にもなりえます。特に、初対面の相手に対しては、「この人は敵なのか、味方なのか」を判断する意識が働きます。その判断の結果、「敵」と判断した相手については、基本的に受け入れることを拒むようになります。逆に、「味方」と判断すれば、いち早く協力関係を結ぼうとします。
では、どういう人を「味方」と判断するのでしょうか。人は、ずばり「自分に似ている人」を好み、信頼する傾向があります。なぜならば、相手が似ていると、「どういう人なのだろう」、「何を考えている人なのだろう」と、詮索する必要があまりなくなるからです。
このように、“Pacing”のうち、特にnon-verbalな部分は相手にとても大きな影響を与えます。相手が自分の呼吸や姿勢、表情と合っている(似ている)と安心するのです。
リーダーは、相手(部下)に新たな行動を促します。その時、相手が抵抗感や猜疑心を持つのか、それともスムーズに実際の行動につながっていくのかは、そのリーダーとの間の安心感や信頼感が大きく影響します。
ぜひ、新たな取引先や部下の皆さんに対しては、特にこの“Pacing”を意識して使ってみてください。
(次回は4月第4週号掲載)

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〈プロフィル〉竹内 健(たけうち たけし)
エグゼクティブ・コーチ(COACH A USA 取締役 CFO)
PricewaterhouseCoopers LLPにて異例の日米5都市を異動しつつ、公認会計士として日米欧の企業や経営者へのサポートを行う中で、ソリューションの提供だけでなく対話を通じた人 への投資があってはじめてクライアントのパフォーマンスが発揮されることを痛感し、これまた異例の会計士からの転身をはかり現職。【ウェブ】www.coacha.com/usa/

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