〈コラム〉集夢計画31 「萬人『啓藝』、『讃臨』台湾・屏東」

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アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第36回

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(左から)南山学園理事長の王継光氏、著者、屏東会の林再傳会長、Crystal Window & Door社の陳秋貴社長(後方の作品のサイズ:長さ16×6フィート)

 昨年このコーナーで紹介した白い車「Sun in Action」に続き、シリーズ2台目となる作品を制作中です。温和、寛容、甘美を思わせるピンクと、純粋無垢、理想主義の色である白を基調とし、グッドマークを掲げた戦車型スタイルの車。映画制作を目標にした「集夢計画」の一環として、台湾屏東縣で開催するアートイベントに向けた作品です。
今回も制作場所を提供してくれたのはCrystal Window & Door社。工場で窓やドアを作る職人と一緒に制作しながら浮かんできたのは、清の時代の曾国藩の「人尽其才 物尽其用 地尽其利 貨暢其流」という言葉。人それぞれの才能、物、土地を最大限に活用し、商品を円滑に流通するという意味で、この会社がニューヨークで成功しているのは、この言葉を上手く機能させている結果だろうと感じています。
前回2カ月の制作期間で数百枚の軍手が廃棄されようとしました。捨てるには惜しい軍手を取っておいてもらい1万枚ほどになったので、今回のアートに取り入れています。職人たちの汗と精神の象徴です。タイトルにある「啓藝」とは芸術から始まるという意味、「讃臨」とはウエルカムの意味です。たくさんの人と一緒にニューヨークからアートを発信し、台湾では、農家で野菜や果物を作る実際の農民と一緒に果物を乗せて台湾全土を回ります。
美味しい果物が栽培できる土地を守るための行動は、自然と人類との共存,地球環境保護へとつながっていきます。アメリカと台湾の人、物、土地をアートの中で最大限に活用できるかが勝負です。
5月25日ユニオンスクエア、6月1日クイーンズで展示後、10月ごろ台湾に到着予定で、スタート地点は母校の南山高校。35年前に担任だった恩師は、現在同学園の理事長となり、ちょうど旅行でニューヨークに寄られたので、制作中の車と対面してもらいました。アメリカから台湾へ国境を越え、アートから農業、科学へ分野を超えた行動アートをご期待あれ。(次回は7月第2週号掲載)
ShipPaoLin-1 〈プロフィル〉 林世宝(リン・セイホウ) 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年NY大学大学院修士課程を修了。NY現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門(愛知万博)」、「ラブツリー(20万のおしゃぶり)」がある。NY在住。【フェイスブック】www.facebook.com/lin.shihpao?fref=pb&hc_location=friends_tab&pnref=friends.all

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